ビニールハウスを建てる際に考慮すべきこと(前編)

2019年2月にハウス3棟が完成しました。

まだ何も栽培していない段階ですが、あれこれと「あーしておけば良かった」「こーしておけば良かった」などの念がちらほら。

前もってしっかりと構造や農作業をイメージしておいて、その通りにハウスを注文すればいいのですが、未経験のことをイメージするのも困難なもの。

同じような失敗をしないように、ハウス建設の際に考慮すべきポイントを書いてみました。

個人的に聞いたことや思ったことを元に書いています。
ほかにもいろんな意見があると思いますので、ハウスを建てる際はいろいろな人にアドバイスをしてもらうことをオススメします。

ハウスの面積

これは何を栽培するか、そして想定する収益を元に、その収益を得るためにはどの面積を栽培する必要があるかを逆算して決めましょう。

と言っても最初は難しいと思うので、農業改良普及センターに相談するといろいろアドバイスがもらえると思います。

あとは何人で作業をするのか。大きな面積だと一人じゃ手が回らないので、そこも考慮しながら、栽培可能な面積を決めます。

ハウスの長さ・棟数

ハウスの面積を元に、長さと棟数を決めます。
実際には、ハウスを建てるほ場の面積や形に合わせて、自ずと決まってしまうことが多いです。

ほ場が十分に広い場合ですが、ハウスの長さは一般的に長い方が栽培効率は良いです。

ただしビニールなどの資材は50mのものが多いので、例えば60mのハウスを建てるとなると50mと10mのビニールを張ることになり工事や資材に無駄が多くなります(建設コストに響くと思います)。

あと長いハウス、例えば50mハウスは往復すると徒歩100mです。結構、大変です。
動力噴霧器のホースを伸ばすのもなかなか大変です。
灌水チューブも、ちゃんと届く水圧かを調べておく方がいいと思います。

棟数は、少ない方が建設コストを抑えられます。
25mハウス2棟と、50mハウス1棟では、面積は同じですが後者の方が安く建てられます。
これは妻面の数、サイドの巻き上げの数、換気扇の数などが少なくて済むためです。

単棟か連棟か

ハウスを複数建てる場合、例えば25mハウスを2棟といった場合、2棟を繋げて連棟にする方法もあります。

ハウス内でひとつの品目を栽培するのであれば、連棟が作業効率が高くなります。
連棟内を自由に移動できるのは、なかなかラクです。

いろいろな品目を栽培する場合は、温度を個別に調整できる単棟を複数建てる方が望ましいこともあります。

建設コストは、連棟が高いと聞いたことがありますが、サイドの巻き上げや換気扇、電気の制御盤などが1組で済むため、トータルでは一概にどちらが高い・安いとは言えないようです。

なお、多くの雪が降る地域では単棟です。
連棟では谷間に雪が積もってしまい倒壊するそうです。

単棟ハウス (photo AC)
連棟ハウス (photo AC)

パイプの太さ

太い方が頑丈です。
ただし、どの程度の太さが必要なのかは、降雪の度合い、台風襲来の頻度などで変わると思います。

気を付けたいのは、外径が太くても厚みが薄いパイプがあるということです。
理想は太くて厚いパイプですが、もちろんコストが上がります。
(鉄の価格が毎年どんどんと上昇しているそうです。)

ハウスのパイプ (photo AC)

設置方向

方角は南北が理想です。
これは台風が来た場合、南北からの風が強いためです。
東西に建ててしまうと、横方向に強い風を受けてしまい、倒壊に繋がります。

肩高・間口の大きさ

これは栽培する作物によってだいたい決まってきます。
トマトやキュウリを栽培するには高い方が有利ですし、葉物野菜を栽培する場合は、低くても構いません。

間口は、肩高が決まるとだいたい決まってしまいます(肩高が高いと間口も広くなる)。
間口が広いと、立てる畝の数も増やせます。が、間口6.0mを7.2mにしても1畝増えるくらいです。
あまりに肩高が低い、間口が狭いとトラクターの出入りができないことになります。

出入り口のドア

入口のドアは、両開きか片開きか、スライド式か蝶番式か。
ハウスの中をトラクターで鋤いたり畝を立てるのなら、両開き・スライド式にする必要があります。
人間が出入りできればいいや、という場合は片開きでも、蝶番式でも構わないと思います。

出口のドア(反対の妻面のドア)は要るか要らないか。
あると何かと便利とは思いますが、出た先に何も無い(他人の畑や住宅の壁だったり)場合は、無くてもいいと思います。

片開き・蝶番式の扉 (photo AC)

後編に続く予定。。